財産が不動産だけしかないこともトラブルの原因になりやすい

同居していた父親が亡くなりました。母はすでに故人となっていますから、親の財産は同居していた長男と、独立している弟と妹が相続します。遺産は住宅と1千万円程度の預金です。

法定相続人のうち、妹は貯金の分け前だけで納得し増したが、弟の方はそれだけでは法定の相続額に満たないと、土地建物の分け前も要求しています。とは言え、住宅にはいま兄の家族が住んでおり、おいそれと売却することはできませんから分け前を渡すことができません。それに弟に遺産の分け前として渡すだけのお金の蓄えもありません。

このように遺産のメインになるものが不動産の場合は往々にしてトラブルが発生しやすいのです。この場合も、父親が、「不動産は長男に相続させる」という遺言を残しておきさえすれば、このような問題は発生しなかったのです。

父親が残した不動産が兄弟間の争いのもとになった

弟はあくまで法定相続分相続する権利があると言って譲りません。兄としては長男として親の面倒を見てきたのだから土地と住宅を所有する権利は自分にあると、おいそれと弟の言い分を認めるわけにはいきません。

でも弟も引き下がることはなく、弁護士を通して家庭裁判所の遺産分割協議の調停の申し立てをしてきました。仕方なく兄の方も弁護士を立てて対抗することにしました。こうなると兄弟とは言え敵同士の関係になりますから、これまでのような肉親としてのつき合いはできなくなってしまいます。

このように、いかに兄弟とは言え、人間はお金を前にすると欲だけが前面に出てきて、自分の取り分をできるだけを多くしようとするために醜い争いに発展してしまうのです。もう一度言いますが、故人が遺言さえ残していれば、こうした争いは避けられたのです。